こんなに可愛い子が男のはずがないからまじまじと相手を見て上から下までじっくり見ると、身体は華奢であるが喉仏があり男だということがわかる。
失礼なことをしたなと思い謝ろうとして。
「ごめんごめん、あまりにも可愛いから間違えたわ」
男ではあるが正直見た目はタイプである。ぱっちりとした二重の大きな目に凛とした黒髪に惹かれてしまったのだ。
いつもは適当に誰にでもついていきそうな軽い子を選ぶが今回は違っていた。
どうみてもこの子は真面目そうで自分みたいなタイプは苦手な筈だ。
多分友達も真面目そうな人しかいない気がして自分みたいな奴と関わることないんだろうなと思い。
「じゃあ、俺はこれで」
関わりたくなさそうですぐに立ち去ろうとして、普段なら一度断られた相手に執着しようとはせず呼び止めることもなく次に切り替えていこうとするのが俺だが。
「ちょっと待て。お詫びになにか奢らせてよ。なんでも買ってあげるからさ」
立ち去ろうとする相手を引き止めてしまった。
何故か関わりたいと思ってしまい必死でどうにかもので釣ろうとして、目の前に立ちはだかり帰らせないようにする。
相手は迷惑そうな顔をしていて誘いに乗らなそうで。