「ふーん、家にさ…室内で犬飼ってるんだけど、見に来ない」
少し遠慮がちに聞いてきて。
「えっ、見に行きたい。どんなワンちゃんに会えるか楽しみすぎる」
家に犬を飼っていると知って目を輝かせ興奮して声が大きくそうになるのに気づいて慌てて声のボリュームを落としす。
「トイプードルの白だよ。毛が抜けないから、こまめにブラッシングしてあげないといけないんだぁ」
立夏も食べ終わると水を飲み。
「絶対可愛い、こんな子がいたら毎日癒され放題じゃん。ブラッシングされんの気持ちいいんだろう」
白いトイプードルを想像して顔がにやけそうになり気持ち悪がれると思いすぐ真顔に戻す。
「いや、なんで犬の気持ち」
「やば、つい想像してしまったわ」
絶対変な奴だと思われたな。あー恥ずかし。照れ隠すように水筒の氷が入ってる冷えた水を飲む。
「なんか、やっぱり噂は噂だったな」
「噂か、有る事無い事言われてんだろうな…」
「気にすることないんじゃない」
食べ終わった食器を片付ける為に立ち上がり食器を返しに行くと戻ってくる。
何を言われてるかわからない噂を思い出し苦い顔をして。
でも、噂通りじゃないっていうのをわかってもらえてよかった。
「気にしても仕方ないよな、俺は俺だし」
いつもの調子に戻ると弁当を片付け鞄に入れ立ち上がり食堂を一緒に出て。
「じゃあ、俺教室に戻るから」
「またな。一緒にご飯食べてくれてさんきゅー」
「うん…」
別れ際に手を振ると振り返してくれるなんて少しは仲良くなったかもしれない。